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Channel: 5月, 2024 | STORY AGE
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仕事も日常も人間関係も。人生を豊かに彩る「ミニマムリッチ」の世界とは

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大量のモノに囲まれ、日常的に「プチプラ」という言葉が飛び交う現代。家の中はインターネットで見つけたセールの服や安価なインテリアが溢れ、モノでいっぱい。仕事に行っても、書類の山に囲まれ、詰め込み過ぎたスケジュールに追われて、心をすり減らしていませんか?

そんな時代、「上質なモノを少しだけ持つ人生」=「ミニマムリッチライフ」を提唱する横田真由子さんは、時間の使い方や持つものの質を上げ、それを愛しぬくことに真の豊かさがあると語ります。この考え方は多くの人々の共感を呼び、クロスメディア・パブリッシングから発売された書籍のシリーズは累計12万部のベストセラーとなっています(2024年4月時点)。

彼女の本の企画を担当してきたのは、数々のベストセラーを手掛けてきた小早川幸一郎です。今回、小早川がビジネス書のヒットメーカーならではの視点で、横田さんにインタビューを行い、現代の人々が豊かな心でビジネスライフを送る方法を探ります。

※この記事は、2024年5月配信の、クロスメディアグループの動画コンテンツ「ビジネスブックアカデミー」を元に文章化し、加筆・編集を行ったものです。

横田真由子(よこた・まゆこ)

ミニマムリッチコンサルタント/オフィスファーレ代表
株式会社ケリングジャパン(旧GUCCI JAPAN)販売スタッフとして有名人やVIP客の担当となり、3年で店長に昇格。顧客獲得数No.1となる。VIP客のもの選びに女性としての優雅な生き方を学び、独自の「大人エレガンス」を実践する契機となる。2004年、英語の「Do」と同義語のイタリア語「Fare」を屋号に、「オフィスファーレ」を設立。ものをただ使い捨てるのではなく、選んだものを大切に手入れしながら愛し抜く姿勢に、真の豊かさを感じ、「上質なものを少しだけ持つ人生」=「ミニマムリッチライフ」を提唱、セミナー、講演、執筆活動を行う。著書は『本当に必要なものはすべて「小さなバッグ」が教えてくれる』『すてきな靴が一歩ふみ出す自信をくれる』『本当に必要なことはすべて「ひとりの時間」が教えてくれる』『本当に必要なことはすべて「小さな暮らし」が教えてくれる』(以上、クロスメディア・パブリッシング)など、累計12万部(2024年4月時点)。

小早川幸一郎(こばやかわ・こういちろう)

クロスメディアグループ(株)代表取締役
出版社でのビジネス書編集者を経て、2005年に(株)クロスメディア・パブリッシングを設立。以後、編集力を武器に「メディアを通じて人と企業の成長に寄与する」というビジョンのもと、クロスメディアグループ(株)を設立。出版事業、マーケティング支援事業、アクティブヘルス事業を展開中。

自分を好きになる「自分らしさ」の見つけ方

小早川 まず、ミニマムリッチコンサルタントという仕事について教えて下さい。

横田 主にラグジュアリーブランドや飲食店、ホテルなど、高水準の接客スキルを求める企業様からオファーをいただき、主に接客業務のOJT(On the Job Training)を通じてミニマムリッチの精神をお伝えしています。

小早川 どのような経緯でミニマムリッチという考えは生まれたのでしょうか?

横田 私は以前、ラグジュアリーブランドで販売スタッフとして働いていました。素敵なものに囲まれていると、次々に欲しくなって、ものを買っては飽きるという繰り返しでした。その結果、持っているものは増えたのですが、なぜか虚しく心は満たされず、反対にすべて手放してシンプルライフを目指しても、それは寂しくて、心から満足することができずにいました。

そんな時、お客様から、自分の心地よいものをひとつ選び、愛し抜くことで心が満たされるという考えを教えていただき感銘を受けたのです。そのスタイルが、まさにミニマムリッチでした。

小早川 少し言葉が似ていますが、ミニマリズムとは違うのでしょうか?

横田 ミニマリズムは日本語で「最小限主義」。つまり余計なものは一切いらないという考え方で、「必要なものだけをそろえる」とか「必要ないものを捨てる」というところに意識が向きます。対してミニマムリッチは、「選ぶ」という意識が強いんです。「自分が選び抜いた上質なもの」というところが、ミニマリズムとは違います。ミニマムリッチには、自分らしいものを探す楽しみや選ぶ楽しみがあります。自分が選び抜いたものには温かみを感じ、それを中心にワクワクする気持ちが生まれるんです。

小早川 必要なものだけをシンプルに持つのではなく、自分の心がときめくものを選ぶということなのですね。「一張羅を必ず用意する」という習慣や「安物買いの銭失い」という言葉があるように、ミニマムリッチという思想は昔からあると感じます。実はみなさんが心のどこかで求めていて、言葉にされて初めて思い出すことかもしれません。

自分らしいものを見つけるのは、とても難しいですよね。

横田 「目利き」になることで、本当に自分らしいものを見つけられるようになります。目利きになるためには、たくさん行動して、たくさん上質なものを見て、たくさん試してみることです。そうしているうちに、自分のことが分かってきて、自分らしいものを見極められるようになります。ある方はこの過程を「自分を好きになる旅」と表現していました。本当に「自分らしい」と思えて、満足するものを選べるようになると、自分のことを好きになれるんです。

私は、そういうお客様とたくさん出会ってきました。自分に一番似合うものを知っていて、「これが自分らしさだ」と言える方々はとても素敵です。

「小さなバッグ」が教えてくれた新しい世界

小早川 横田さんとは、2016年から8年間、ミニマムリッチがテーマの本を一緒に作ってきましたね。今まで、全ての本がベストセラーです。

横田 クロスメディア・パブリッシングさんと一緒に作った本は、どれも中身や表紙がとても綺麗で気に入っています。本がヒットしたおかげで、ミニマムリッチという概念が広まり、講演やセミナー、個人のコンサルティングなどの依頼が増えました。

小早川 横田さんのお話を初めて聞いた時、この素敵な世界観を求めている人はたくさんいると感じました。

私は、ビジネス書の出版社で編集をしてきて、女性をメインターゲットとする本は手がけたことがありませんでしたが、私から「一緒に本を作りませんか」と声をかけさせていただきました。

二人で話をしている中で、最初の作品のタイトルを『本当に必要なものはすべて「小さなバッグ」が教えてくれる』にしましたね。

横田 そのとき小早川さんが「手ぶらで歩くと、心軽やかになり、頭が冴えていいアイデアが浮かぶ」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。

小早川  当時私は、パソコンや本、書類なんかをたくさん詰め込んだ、大きなバッグを持ち歩いていました。でも、横田さんの世界観に触れてから、小さなバッグを持つようになり、そのうち手ぶらで歩くようになっていました。

バッグが重いと目線が下がり視野が狭くなりますが、手ぶらで歩くようになると目線が高く視野が広くなります。そして、それまで気付かなかった「素敵だな」「面白いな」と思えるものに出会えるようになっていたのです。世界が変わりました。

横田 今年、『本当に必要なものはすべて「小さなバッグ」が教えてくれる』の改定版を作っていただきました。その影響で、読者の方から「小さなバッグを買いました」というメッセージをたくさんいただき、私の伝えたい世界観が多くの人に伝わっていると感じることができて、嬉しくなりました。

小早川 ミニマムリッチシリーズのヒットは、ミニマムリッチの世界観に多くの人が共感した結果ですね。

「余白」のある暮らしが仕事の質を上げる

小早川  新刊、『本当に必要なことはすべて「小さな暮らし」が教えてくれる』では、「余白」ということについて触れられていたのが印象的でした。その発想について教えてください。

横田  例えば、ラグジュアリーなホテルでは、エントランスが吹き抜けになっていることがありますよね。ここに客室を作れば、もっと売上が上がるでしょう。あえて吹き抜けにしているのは、空間に余白があることで感じる豊かさがあるからだと思うのです。

同じように、バッグやクローゼット、机の中も、2割ぐらいは余白がある方が使いやすい。ものを持たないことで生まれる「余白」も豊かさだと感じます。

小早川 本を一緒に作る過程で、横田さんの仕事にはプロ意識を感じました。質の高い仕事をするために意識していることはありますか?

横田 私は以前、スケジュールに仕事を「詰め込む」ことが目標になっていた時期があります。それはまるで、カバンにものをギュウギュウに詰め込むと何がどこに入っているのかわからなくなるような感覚で、何が重要なのかがわからなくなり、本当に大切なものを見失ってしまっていました。

そこで、スケジュールも2割くらいは何も入れないようにして時間にも余白を作りました。すると、心にも余裕ができ、やるべきことが見極められるようになって、本当にやりたい仕事が急に入ってきても対応できるようになりました。さらに、今まで詰め込んでいた頭の中にも余白ができ、いろいろなものを吸収できるようになったのです。

仕事でアウトプットばかりしていると、自分の世界がスカスカになってしまいます。いろんなものを見たり、本を読んだり、どこかを訪れたり、誰かと話したりしてインプットをたくさんすることで、より質の高いアウトプットができるようになります。

宇多田ヒカルさんがこんな表現をしていました。「音楽は勝手には湧いてこない。音楽として発信するには、自分の中の地下2階ぐらいの部屋にこもって、その中で情報を一回消化してから粒子にしてアウトプットしていく」。私はその感覚にとても共感しました。まさに、私が本を書くときも、ミニマムリッチの世界観をイメージし、インプットしてきた経験を粒子にして自分の中を通し、言葉にしていました。

小早川  ビジネスパーソンが時間に余白をつくるのは大変だと思います。『本当に必要なことはすべて「ひとりの時間」が教えてくれる』では、時間の過ごし方の質を上げることについても触れられていましたね。

横田 自分の価値観や大切にしたいことを本当に理解して行動できている時間が、「質の高いひとり時間」だと考えています。私は、ひとりの時、本当に自分が今どうしたいのかを最優先に考えて行動します。例えば、朝からひとりでご飯を食べるためだけに京都に行ったり、 1つの作品を見るために美術館に足を運んだり。

人と居るときや仕事中は、「こうしなきゃ」とか「こうあるべき」と意識しがちで、自分の本質が見えなくなってしまうことがあります。だから、本当の自分に戻るために、思いのままに行動する。こうした「ひとり時間」がないと、いろんな感覚が鈍ってしまうのです。

小早川 自分と向き合う時間を作らないと、 仕事にも影響が出ますね。 意思決定が鈍くなったり、人とのコミュニケーションが雑になったりすることもあります。

私は新型コロナウィルスが蔓延する前、平日は会食や飲み会が多くてクタクタでしたが、コロナ禍でそういった付き合い方ができなくなり、最初は人と人との関係が揺らぐのではないかと不安になりました。でも、実際には関係は変わらず、逆に、本当に必要な人だけに短時間だけ会うようになったことで余白ができ、自分と向き合う時間が増えました。

横田 人付き合いは、時間管理と行動管理が重要だと言われます。誰とどのような時間を過ごすかは、とても大切です。例えば、私は会食は2時間で失礼するようにしています。時間を意識することで、話がぎゅっと凝縮されて質の高いコミュニケーションができるからです。

忙しすぎると人を思いやる余裕もなくなりますが、人と過ごす時間の質を上げ、凝縮することで、心に余白が生まれます。この余白があることで、人に優しくできますし、ご機嫌でいられます。そうすると自然と周りに人が集まってきて、人間関係が豊かになっていくんです。誰でも、限りある時間をご機嫌な人と一緒に過ごしたいですよね。

「美意識」を持つことが未来の自分を豊かにする

小早川 ビジネスで活かせるミニマムリッチの考え方や、アイテムの選び方はありますか?

横田 ビジネスパーソンは人に見られることが多いので、どう見えるかを意識しながら、自分に合うものを選ぶことが大事だと思います。相手に敬意を示すという意味でも、清潔感のある、きちんとした身なりでいるべきだと考えています。

例えば、ラグジュアリーブランドのお客様は、お店に来られるとき、いつもきちんとした格好をしていらっしゃいました。そうすると、こちらもその人に見合った接客をしなければと気持ちが引き締まるのです。様々なビジネスシーンで同じことが言えると思います。

小早川 最近は、仕事においてもカジュアルな服装が許容される風潮があり、Tシャツに短パンなどで出社される人も見かけますが、横田さんはどのようにお考えでしょうか?

横田 私は、いつもきちんとした格好をするように心がけています。もしかしたら、行った先で自分が出会うべきキーマンに出会うかもしれません。

急に「どこか行かない?」と言われたときに「今日はこの格好だから」と断るのは、チャンスを逃していることになります。仕事であれ買い物であれ、自分をより魅力的に見せる格好をしていた方がいいと思います。

その中で「あなたらしいね」と思われるようなアイテムをひとつ 持っていると、さらに素敵です。ボールペンでもパソコンケースでもいい。何か一つ自分らしいものを持っていると、 その人のアイコンになり、そこから会話が弾むこともあります。「素敵だね」と言われると誰だって気分がいいものですよね。

小早川 ミニマムリッチの概念を知ると、仕事や人生の美意識が高まるように感じます。

横田 美しいものを愛する気持ちは、「恥ずかしくない自分でいたい」ということにつながっていると思います。

仕事も毎日の生活も、美意識を持っていることで周りの人間関係もうまく回り出しますし、ミニマムリッチの精神で余白を持って仕事を進めることで、時間もうまく回り出して未来の自分をより豊かに変えてくれるのです。

人生を彩る「本当に必要な小さなこと」

小早川 最後に、今後の展望と読者の方へメッセージをお願いします。

横田 ミニマムリッチで皆さまの毎日がハッピーになれば嬉しいです。そのために、この世界観をたくさんの方と共有したいと思っています。

手放すこと、捨てることが苦手という方でも、自分に合ったものを選ぶときはウキウキするのではないでしょうか。

自分に本当に合ったものを選ぶことは、人生を主体的に導く大きなきっかけになると私は考えています。これから、自分の人生を主体的に変え、選び、心豊かに暮らしたいと思っている方々に、「ミニマムリッチ」シリーズの本をぜひお読みいただけたらと思います。

小早川 『本当に必要なことはすべて「小さな暮らし」が教えて くれる』は発売早々に重版となり、これからたくさんの人に読んでもらえると思います。

横田 ミニマムリッチは、私が人生をかけて伝えたいことです。小早川さんが案をくださった「本当に必要なことはすべて〜が教えてくれる」というタイトルは、本当に素晴らしいものです。このシリーズは、クロスメディア・パブリッシングと一緒にずっと作り続けていきたいと思っています。

本を通して、新しいミニマムリッチの世界観を皆様にお伝えできるときが必ずやってきます。そのときは、皆様の感じた世界を私にもぜひお聞かせくださいね。

編集・文:渡部恭子(クロスメディア・パブリッシング)

本当に必要なことはすべて「小さな暮らし」が教えてくれる

著者:横田真由子
定価:1,518円(1,380+税10%)
発行日:2024年4月1日
ISBN:9784295409564
ページ数:280ページ
サイズ:182×115(mm)
発行:クロスメディア・パブリッシング
発売:インプレス
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